大規模修繕工事には専門知識が必要です。管理組合のなかに建築に精通した人がいない場合には管理組合だけで進めていくのは困難ですので、専門知識を持ったパートナーの存在が欠かせません。
大規模修繕のパートナーには、主に「修繕コンサルタント」「施工業者」の二つの選択肢があり、どちらを選ぶかによって発注方式や管理組合にかかる負担、工事内容・費用が変わります。

修繕コンサルタントをパートナーに選ぶ場合、発注方式は設計監理方式。設計監理方式では、修繕コンサルタントがサポートに入り管理組合様が主導で大規模修繕を進めていきます。
一方、管理組合様が施工業者と直接やりとりする場合、発注方式は責任施工方式です。専門的な知識があまりない管理組合であれば、工事内容や費用に関するアドバイス、業者選びのサポートが受けられる修繕コンサルタント（設計監理方式）を選択したほうが安心といえるでしょう。

業者と直接やりとりする責任施工方式は、管理組合様の負担が増えるのに加え、場合によっては信頼できる業者を見つけられなかったり、費用の妥当性がわからず無駄なコストがかかってしまったりというデメリットも。

品質や費用のことを考えるなら、窓口・相談役となりマンション管理組合が適切な判断をできるようサポートしてくれる修繕コンサルタントをパートナーに選ぶのが得策です。修繕コンサルタントなら、管理組合様の立場に立った提案をしてくれるので、品質面・費用面において最善の選択ができるでしょう。

あるマンションの管理組合様からこんな大規模修繕の話を聞きしました。インターネットで探した外壁塗装工事業者に見積もりを依頼した際、見積もりがやや高く説明を求めたところ、「相場はもっと高い。これは安いほうですよ」と言われたそう。疑念を抱いた管理組合様は理事会で検討の結果、専門知識のある設計事務所に内容の精査を依頼。すると、同内容の工事で材料などのオーバークオリティーのものもあったため、比較した結果、適正な価格で工事ができたそうです。

業者によっては、管理組合が素人集団であるのをいいことに、自社にとって利益のあるような提案をする会社があります。すべて業者の言うことを鵜呑みにせずに、本当に適正な修繕工事内容であるか、見積もりであるかを確認する必要があります。