はじめての大規模修繕だと、いろいろ不安ですよね?でも、建築のことなどをちょっと勉強すれば、理事としてしっかり大規模修繕を進めていくことができますよ。まず、大規模修繕の基本についてご紹介いたします。
マンションは、新築時からおおよそ12年後のタイミングで初回の大規模修繕を行うのが一般的です。
それ以降は建物の構造部分や施設などの劣化状況を見ながら、10~15年の間隔を置いて定期的に行っていきます。工事内容は主に以下になります。
バルコニーの防水・躯体の補修・外壁塗装・タイル張り替え・給排水設備の取り替え・電気設備工事・外構工事 など
■一般的な大規模修繕のながれ
大規模修繕時には、工事会社との折衝や工事中の騒音などによる居住者の不満の解決など理事への負担が大きくなるため、もし専門の方がいらっしゃれば理事会とは別に専門委員会(修繕委員)を立ち上げましょう。
大規模修繕には、大きく2つの発注方式があります。それぞれの方式にはメリット・デメリットがあります。双方を比較検討したうえで選択しましょう。
劣化診断の結果をもとに、建物のどこの部分をどこまで、どのような工法・材料で、どれくらいの期間をかけて行うのか具体的な設計・計画を決定します。
公募により複数の工事業者から共通条件で見積もりを取り、比較・検討して工事業者を決定します。お見積もり以外にも施工実績や技術力、アフターフォロー体制なども考慮し、総合的に判断します。
施工中はなにかと居住者様にご迷惑をお掛けすることになり、居住者様の理解と協力が不可欠です。説明会などを事前に行って、理解と協力を得られるようにしましょう。また、工事中も計画通りの工事が行われているかを適宜管理する必要があります。
「鉄筋コンクリートで造られているし、とても修繕が必要には見えない」こんなふうに思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、強固に見える鉄筋コンクリートも、経年とともに劣化は進んでいます。コンクリートはセメント、砂、砂利と水を練り上げたものであり、経年とともに乾燥して収縮し、収縮したところがヒビ割れとなります。ひび割れが大きくなるとそこから浸水し、内部の鉄筋が錆びて躯体の寿命を縮めてしまいます。
また、バルコニーや階段など手すりの錆や給排水管内の詰まりも経年による劣化現象ですし、外観も塗装が徐々に剥がれていき見た目にも悪くなります。
こうした劣化は避けることができませんが、劣化を最小限に食い止め、建物を最良の状態に維持することはできます。それが「修繕工事」です。きちんと定期的に大規模修繕を行っているマンションは、建物の劣化が少なく見栄えも良いため、資産価値を保つことができます。 適切な修繕工事をするためには、大規模修繕コンサルタント(調査・提案・監理等)に依頼するのが有効です。